tennis365.net テニス365ブログ 新着記事を読む ]    [ テニス365 ホームショッピングニュースログイン ]

DRKのテニス四方山話 テニスの楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方に伝えたい!テニススクール、ゴルフスクール、フットサルクラブの運営会社の社員の独り言。

またまた勝っちゃって決勝進出しちゃったのね

クルム伊達公子・・・連日テレビで取り上げられてて大騒ぎだね。
080503_ten_date_180.jpg

で、あるブログでJTA(日本テニス協会)の強化本部長の小浦さんが語った「今起きてる現実の裏の真実」というのがあって、素晴らしい内容だったからエラく長いけど転載させていただきます。(↓手前のメガネかけたオジサンね)
P1030221.jpg

中村、その前に藤原が負けたということもあり、随所で、「日本テニスはどうなってるんや」という話が聞かれます。ただ(伊達は)3週連続で(大会に)出るので、体力的なことも懸念されますが、来週また同じことが起きるかと言ったら、かなりのチェックが伊達に入りますので、それは難しいと思います。なので、来週の福岡の戦いは、伊達がそんなに簡単に勝てるとは思っていません。

今回の復帰までのことで話をすると、3月のエキシビジョンの前に、伊達から「(復帰して大会に)出たい」という相談を受けました。その時、二人で約束事をして、「なぜ出るのか、出るテーマをはっきりさせよう」としました。ただ単に遊びで出るなら、これは止めた方が良いと。

これまで彼女は現役を止めて11年半、キッズテニスやJICAなどのセカンドキャリアでテニスに携わってきましたが、私としては、正直物足りなかった。50歳になっても出来る仕事だと。なら、今出たいというなら、「名選手、必ずしも名コーチあらず」ということもありますから、あなたがテニス界にできることは、体を張って恩返しをすることだと。それが一番。

次に、チャレンジャーとして絶対にあきらめない姿を現役に見せられるのであれば、体を張って教えてやってくれと。それが出来るなら、やろうということで、話し合いました。その上で、3週連続で戦える体力があるかという判断を私もしまして、出来ると(判断した)。

ハードコートであれば、もしかしたらもっとペースが上がるかも知れない量の練習を、この1月からほぼ毎日、やりすぎるほどの練習をしてきました。ですので、まず明日も(体力が)持つと思います。ただ、年齢から来る疲れは3~4日経ってから出ますので、福岡の第一戦が一番心配です。

それでも、ここに来てから毎日日常生活も見ていますが、現役の頃に完全に戻っている。夜は9時過ぎに寝るし朝も早い。朝9時過ぎから練習もしているし……その姿を、現役が見られないのが残念です。完全にツアー生活に戻っている。一言で、すごいな、と思っています。

この大会を一回戦から振り返りますと、一回戦は、ジュニアの高校のダブルスチャンピオンですね(対田島杏奈6-7、6-1、6-3)。ファーストセットは、(田島は)伊達が引き出した力で勝ったと思います。それが、セットが終わった瞬間にフッと現実に戻り、その瞬間、勝ちビビリをして負けた。その一試合で、伊達は11年分の試合勘やペース配分を取り戻したと思います。

その次の日は青山という、インカレの準優勝者ですね。6-1、3-6、6-3だったのですが、第一セットは伊達と打ち合って取られ、これではいかんと奮起し第二セットは取った。ただファイナルセットで、同じ戦術が使えなかった。

三日目の大西は、伊達と一緒に練習をやったこともある選手。彼女が予選で最大の強敵でしたが、「ここが大切」という場面で先のことを考えた大西と、目の前のポイントしか考えていない伊達の差が出た。

本選一回戦の藤原は、日本代表の選手。歳も若い。ここで選手は、自分と相手を比較します。いかに伊達とは言え、自分が勝って当然と思ったとき、「負けたらどうしよう」というメンタル面のシャイさが出たと思います。それは中村も同じ。これが非常に難しいところで、コートという戦場の中で「シャイ」が出てしまった。これが、これから選手を強化していく際に重要なメンタルタフネスというものです。

(二回戦の)山外は、ファースト4-2とリードし、4-3となったところで、現実に引き戻された。「このゲーム、取れる」と思ったその瞬間にビビリが出てやられてしまった。

今日対戦したイギリスの選手(メラニー・サウス)が、初めて伊達の攻略法を使った。それを最後まで使ってたら、危なかったと思います。今日初めて、相手が伊達の弱点を付いてきた。私は伊達のコーチだから、それが何かは言えませんが、初めて使ってきたと思う。

これが、今までの私の、伊達を見てきた中での一週間です。

伊達との付き合いは長いですが、彼女が今、20年分くらい戻っていることは事実です。ちょうど私と出会った14~5歳のころに戻り、それを37歳という年齢の中でテニスをやっているのが現状です。彼女から「疲れた」という言葉が、一度も出ない。これだけの「負けず嫌い」をまだまだ持っているというのには、あきれて、正直、物が言えないです。

若い選手に学んで欲しいのは、(伊達は)あるゾーンに入ると、周りが一切見えないような状態になる部分。そのゾーンの切り替えの出来る選手というのは、凄いですね。セカンド(セット)を落としても、ファイナルにまた違うギアで入り、最後、超高速に入る。

ただ、今の彼女が昔と違うと思うのは、前は取りたいポイントを取れなかったとき、感情のコントロールが出来なかったことがあったと思う。それが今は、感情の乱れが全然出ない。だから、見ているお客さんはとても楽しいのではと思います。お客は、絶対にもういっぺん見たくなると思いますよ、あのテニスを。

今回の伊達が変わったところがあるとすれば、強いて言うなら、旦那が居るということ。独身でやっているのと、旦那が後ろにいるというのは、大きく違いますね。そこら辺が、彼女にとってエネルギーになっている。

去年の8月からエキシビジョンに向けて練習はしていたんですが、その中で、「グラフに勝ちたい」「ナブラチロワに勝ちたい」というので、練習量がだんだん増えてきた。僕が練習に付き合った冬場では、朝6時頃から起きてランニングしたりして、9時くらいから5時くらいまでテニスコートに居た。そして夜に(体の)トリートメントをやっている。すごく練習する代わりに、すごく食事をとり、よく寝るということをしているうちに、どの辺で彼女が「現役復帰したい」と思ったかは分からないけれど、おそらく1月頃だったのではないかと思います。

それで、3月10日だったと思いますが、練習見ていたときに、旦那と二人で「復帰したい」と言ってきた。練習量は、ハンパじゃないですよ。「もう止めとけ」と言ったくらいですから。

ランニングは、その他の現役と一緒に走っていました。ず~っと同じペースで6キロ走ったり、そのあとにテニスをやったりして。1月頃からトレーナーを入れて、爆発力をつけるトレーニングをしたり。

現役と一緒にやっていても、依然として一番能力が高いのが、伊達でした。アキレス腱一度切って、あれだけ飛ぶのか、と思ったくらいで(笑)。だからそれを見たとき、出来るな、と思いました。半端じゃないですよ。現実の裏の真実ですね。「えっ、ここまでやるの? もう止めて良いんじゃない?」と言っても、やってましたから。

4月14日から、オムニ(人工芝)のコートで練習をしていました。土居美咲と一緒に、午前2時間、午後2時間。このコートでやったら、ハードコートでは出ない足腰のダメージがあるので、初日に「腰が痛い」と言ってましたが、それでもトレーナーを入れてやっていた。その日から大会に入る25日まで、雨が降った二日間休んだだけだと思う。「休め」と言いましたから。それでもインドアで練習をしたいと言っていたんですが、僕が止めました。

復帰を決めた以上、出るなら全日本選手権まで出たいと言っていた。恥ずかしいことは出来ない、と。それが、元世界4位のプライドだと思うし、こっちも「やるからには、それくらいやってもらわなきゃ困る」と言いましたが、それをいきなり、第一週でやってくれました。とても厳しい決意だったと思います。皆さん(メディア)の前では笑って言ってると思いますけど、本当に、メチャメチャやっています。

全日本選手権も、ワイルドカードで出ようと思えば、出られる。でも、本人はランキングでちゃんと勝負したい、そう言っていたんです。今大会も、メインドローに出すと言われたんですが、「それは要らない」と言いました。僕が(伊達に)話したのは、0ポイントの人間が、トップシードと当たって負けたらどうするんだ、と。1ポイントが欲しいのか、それとも12年のブランクを取り戻したいのか。だから、あんたは予選から始めろ、と。ステップ・バイ・ステップで行こうと言ったら、ものの見事にクリアしてくれた。

ただ笑っちゃう話だけれど、伊達は、まず「どうやって大会に出るんですか?」というところから始めたんです。「国際トーナメントに出るには、IPIN(International Player Identification Number) が無いと駄目」というところから説明したんですよ。日本テニス協会へのプロ登録の仕方も知らない。国際大会の出方なんて、知らないんですよ。だって彼女、ITFの試合は1万ドルを7トーナメント出ただけだと思います。それでランキングを上げて、直ぐに上のツアーに出ましたから。

それで私が強化本部長として若いコーチたちに言っているのは、日本人選手は今まで、年間にどれくらいワイルドカード(以下WC)をもらっているのか、と。

WCというのは、スポンサーがお金を集めてトーナメントをやる中で、本当に重要なものなのだと。だから、こんなもの一年に4回も5回ももらってもしょうがない。本来はWCなんて、選手を育成するためのものなんだから。

今回、奈良や山外はWCで出ましたが、二人とも確実に一回勝ってポイントを稼いだ。それが大切なんです。出て「経験になる」なんて言ってるなら止めておけ、と。そういうことは、今まで参考になるような事例がなかったので、若いコーチたちもあまり実感が無かったようですが、今回、私が伊達にやってきたことを示せたということで、みんな分かってきた。いかにWCが大切かを示せたことでも、大きかったと思います。

奈良とのダブルスは、私が指示してやらせました。ウィンブルドンJr.ダブルス準優勝者の二人が、伊達と組んだらどんな心境になるかを見たかった。その中で「奈良は立派やなぁ」と思うのは、メンタル的にタレント性がある。伊達の横で、なかなかあれだけダブルス出来ませんよ。昨日も、ポーチ一回出てダメだったところを、直ぐにもう一回やって決めた。なかなか出来ないことです。

奈良が凄いと思ったのは、伊達とやった二試合目で、「伊達さんの動きが分かってきた」と言ったんですよ。奈良は体は小さいですが、これは何とかやってくれるのでは、と。そう思いました。

来週は、土居が伊達と組みますが、どう動くか、それを見てみたいですね。一緒に練習したり敵にするのと、隣でやるのは違いますから。そこで、色んなもんを学ぶと思います。

本当に、目に見えない色んなモノが、浮き彫りになってきました。僕は、日本のテニスは間違いなく、来週から変わると思います。中村や藤原も、来週は目の色を変えてやってくるでしょう。

皆さん方には、思いっきり書いて下さって結構です。「ナニやってる、日本のテニス」と書いて下さって良いです。ここで私が受けて立っていますから。

伊達が復帰一回戦で与えたこの出来事を、「ショック」と取るのか「インパクト」と取るのかで、全然変わってきます。福井(烈、強化本部副部長)をはじめ、皆そのことは「ショックではない、これで良いんだ」と言っています。

ね、スゴイ長いでしょ。でもね、ボクみたいのが勝手に切り貼りしていい内容じゃないと思ったから。
ガンバレ!日本テニス界!



日記 | 投稿者 DRK 08:00 | コメント(0) | トラックバック(0)
<<  2008年 5月  >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
カテゴリ別アーカイブ
このブログサービスは「テニス365 テニスブログ」で運営しています。テニス365会員なら無料でご利用・作成いただけます。